第10話 ささやく羽根

公開日: 2025/07/11

任務を終えたひよりは、封霊会への報告を終え、重い足取りで寮へ戻っていた。

治療でようやく沈静化したはずの“症状”──その火照りが、またじわじわとぶり返している。

歩くたび、スカートの裾が太ももに擦れ、わずかな刺激が身体の奥に伝わってくる。

 

それだけで、背筋が微かに跳ね、呼吸のテンポが狂いそうになる。

(これじゃ、また…治療が必要になるかも……)

そんな思いが頭をよぎったそのときだった。

静まり返った寮の廊下に、明るい声が響いた。

「ひより先輩っ、おかえりなさいですよっ♡」

振り返ると、後輩の天羽みくが手を振りながら駆け寄ってきた。風をまとったような軽やかな動き。

「みく…こんな時間にどうしたの?」

「ん~、ちょっと外の風の様子、見てたんです。霊気の流れとか、読めそうかなって」

そう言いながら、みくはぴょんとひよりの目の前にしゃがみこんだ。

骨盤あたりの視線の高さあたりから、上目遣いでひよりの表情を覗き込んでくる。

「それより……先輩、なんか様子がおかしいですよねぇ?」

突然距離を詰めたみくに、ひよりはたじろいだ。

「えっ……べ、別に…そんなこと……」

「え〜? ほんとですかぁ?♡ なんか、怪しいな〜」

みくの目が、どこかいたずらを企んでいるように細まる。

 

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指先に持った細長い羽根をふわり動かし、風をおこしてスカートをひらりと揺らした。

それだけで布地がふわりと揺れ、ひよりの素肌にひやりとした風が触れた。

(……っ)

任務中にまとった汗と、淫霊の残滓が乾ききっていない感触が、一瞬で蘇る。

湿った下着に風が当たり、熱のこもった部分が冷やされて、むずがゆい刺激が生まれる。

「ほら、ちょっと火照ってるじゃないですかっ♡」

「……なっ……!」

顔を赤らめたひよりが視線を逸らしたその隙に、みくはひよりの背後へと回り込む。

 

次の瞬間、耳元にそっと息をかけるようにして、意地悪く囁いた。

「まさか任務で……なんか、あったんじゃないですかぁ?」

その声は、無邪気さを装いながらも、どこかひよりの“奥”に触れようとするような響きをもっていた。

みくが持つ羽根が、スカートの中へそっと忍び込み、中でさわさわと内ももを刺激する。

くすぐったいような感覚に、ひよりはわずかに肩をすくめた。

「ちょっと……やめてってば……」

小声で制止を試みる。

だがその声には、どこか張りがなかった。

なぜか身体がそれを求めているかのように、思うように動かなかった。

 

ひよりは、これ以上、羽根が上がってこないように、片手をスカートの上から股のあたりを押さえる。

「だめですよ〜、手は横にして、ほら、気をつけ!…わたしがちゃんと見てあげますから」

仕方なく言う通りに抑えていたゆっくり手を離すと、

羽根は奥へ入り込み、羽先がわずかに下着と肌との境界線をかすめた。

敏感になった肌に、羽先のひと撫でがまるで術のように染み込む。

ぞくり、と背筋が跳ねるたび、さきほどまでの戦闘で火照った熱が再び目を覚ます。

それを空気の流れから悟ったかのように、行為が次第にエスカレートしていく。

 

「も…もう、いいでしょ」

ひよりが抵抗して終わらせようとするのを遮るように、みくは続ける。

「え〜? まだまだですよ、これから一緒に任務するんですし、先輩のこと知っておきたいんです♡」

からかうように言いながら、もう片手を軽く伸ばし、ひよりのシャツのボタンに指をかけた。

ひよりは慌ててその手を止めようとするが、遅かった。

シャツのボタンを一つはずつと、豊満な胸を大きく包んだ下着があらわになる。

「……やっ…こんなところで、誰か来たら…」

みくは返事をせず、ただいたずらっぽく微笑むと、もう一枚の羽根を取り出し、するりと下着と豊かな膨らみの間に差込み、ゆっくりと中で動かした。

「…んっ…」

思わずビクリと身体がのけ反った。

下着の間に差し込んだ羽先が、その豊かな膨らみの先端を中で擦れて刺激された瞬間――

(…だめっ…)

ビクビクッと軽く身体が痙攣し、脚から力が抜けそうになった瞬間、みくの手がそっと背中を支えた。

「あれれ、もしかしてイッちゃいましたかぁ♡……」

「……そ、そんなわけないでしょ…ちょっとさっきの任務で疲れてるだけよ」

不意にあふれた言葉は、ひより自身の身体の反応を隠そうとする言い訳だった。

みくは目を細め、口元に笑みを浮かべる。

「素直じゃないなあ…でも、これでまたひとつ先輩のこと分かった気がします。ただ、あんまり無理しないでくださいね♡」

そう囁くと、羽根を持った手をゆっくりと下ろし、軽やかに立ち上がった。

その声はいつものみくの笑顔のまま、ただほんの少し、優しくて、静かだった。

ひよりの寮の部屋まで見送ると、彼女は自分の部屋へ戻っていった。

 

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