第11話 乱れる共闘

この日は、ひよりにとって初めて後輩の天羽みくとペアを組む任務だった。

いつも通り、制服風の白いシャツに身を包み、短めのスカートを履いて、

鏡に映る自分の姿を一度確認してから、玄関に向かうと──

「せんぱ〜い♡ 似合ってますねぇ、やっぱり、ひより先輩がいちばんカッコいいですっ♡」

先回りして待っていたみくが、ひよりにぴたりとくっついた。

「ちょ、近いってば……!」

「えへへ、だって今日、先輩との初めての任務ですもん、テンション上がっちゃって♡」

悪びれず笑うみくの瞳には、どこか緊張と期待が入り混じっていた。

 

任務の場所は、地下鉄跡の封鎖区画。淫霊が複数目撃されているという報告だった。

地下通路に足を踏み入れると、湿った空気とともに、淡く揺らめく瘴気が感じられた。

「……来るわよ!」

最初の一体は、ひよりの勘通り、すぐに姿を見せた。

「動きを止めますね! 風よ、縛って──!」

みくが羽根を散らし、術式を展開。淫霊の動きが鈍った隙を、ひよりが見逃すはずがない。拳を握り、一撃で封霊する。

だが、異変はその直後だった。

「二体……いえ、三体!? 多すぎる!」

左右の通路から人型の淫霊が次々と現れ、包囲を形成する。その中の一体が猛然と突進してきた。

「止めますっ、風よ──!」

焦ったみくの術が軌道を逸れ、淫霊を逸れて、ひよりの足元目掛けて飛んでしまう。

「わっ、せんぱい、ごめんなさいっ……!」

その瞬間、動きがわずかに鈍る。

淫霊たちはそれを逃さず、ひよりを取り囲んだ。

背後から忍び寄った影が、ひよりの両腕をとらえる。

ぐっと力を込めて押し上げ、彼女の身体が軽く仰け反る。

「いやっ……!」

拳を構えようとするが、シャツ越しにまとわりつくような瘴気が、先日の症状を呼び覚ますかのように全身に広がっていく。

心臓が高鳴り、神経が敏感に反応する。

(……あれ、うまく動けない……っ)

みくは、自らの術が原因でひよりを危機に晒してしまったことに、ただ立ちすくんでいた。

ひよりを囲む淫霊たちは、無感情に、しかし執拗に、瘴気を放ちながらひよりの身体に絡みついていく。

二体の淫霊がひよりの左右に立つと、腕を伸ばして、シャツの上から豊満な胸を揉みはじめた。

「んっ……」

思わず声が漏れて、顎があがった。

シャツが引き裂かれると、あっという間に下着も引き剥がされ、ひよりの年齢からは想像できない大きな膨らみがあらわになった。

抵抗しようにも、両腕が上で固定されているため、身体を少し左右に揺らすことしかできない。

その揺れに、乳房がその重力で少し遅れて揺れの軌跡を描く。

二体の淫霊の頭部が、胸のあたりにゆっくりと接近してきて、

あんぐりと口を開け、長い舌が膨らみの先端に近づいてくる。

「いやっ…そんなの……だめっ…」

抵抗も虚しく、ねっとりとした舌が先端を濡らし、下からと上からと刺激した。

(…んあっ……なにこの感覚…)

これまで触られることはあっても、舐められるようなことはなかったため、初めての感覚に思わず身体を反らせた。

反ったタイミングで、豊かな胸も上向きに揺れる。

淫霊の舌から分泌される液体が滴り、わずかに腹部へと垂れてくる。

前回の任務で敏感になってしまった身体にさらに、淫霊の分泌液のようなものが混じり込んで、さらなる感度へと繋がっていった。

(……胸が熱く…やばい…)

舌で膨らみの先端をピンと弾くと、その反動からすっかり固くなっているのが見て分かる。

下半身がじんわりと熱くなり、下着からねっとりとした液体が内ももをつたって垂れてくるのが分かった。

(ああ…こんなに、わたし……またこのまま…)

 

だがそのとき──

「風よ、導け──天羽の羽撃!」

吹き抜ける風。

天羽みくの術式が再び動き出し、鋭い風が淫霊たちの動きを止めた。

「もう大丈夫です、先輩っ!」

みくの叫びに、ひよりがハッと覚める。

その一瞬のうちに、ひよりは身体の内から疼くものを力に変えて、一気に全力で拳を振り抜いた。

「封っ!!」

一体、二体、三体。

淫霊たちの身体が次々と霧散し、黒煙を残して空間から消えた。

静寂が戻ったその場所で、ひよりは荒い息を吐きながら膝に手をついた。

その肩に、そっと寄り添う気配。

振り返ると、みくが申し訳なさそうな表情で立っていた。

「先輩……ごめんなさいっ。わたしのせいで、あんな危ない目に……!」

「……もう大丈夫。なんとかなったから、気にしないで」

ひよりの言葉に、みくの胸の奥がぎゅっと締めつけられる。

尊敬と憧れと、自責の念が入り混じる感情が、彼女の顔に陰影を落とした。

「わたし、先輩みたいに強くなります!」

その小さな声に、ひよりは静かに微笑んだ。

シャツを軽く整えながら、ひよりはわずかに身体を震わせた。

すっかり固くなった膨らみの先端が汗ばんだシャツを押し上げて、その形がシャツの上からでも見て分かるようだった。

指先で太ももに垂れた液体を拭い、滴が糸を引いて途切れた。

それを誰にも見られないように、ひよりは静かに立ち上がる。

二人は並んで歩き出す。

湿った空気の中、確かに絆の匂いが芽生えつつあった――