
第6話 静かなる余波
公開日: 2025/07/08
封霊会の寮に戻った神崎ひよりは、シャツにミニスカート姿のままベッドに身を沈めた。
マットレスの柔らかさが、任務の緊張から解き放たれた身体をじわりと受け止める。
昨日の任務から続く熱っぽさは、まだ引いていない。
風邪のような怠さとは違う、もっと身体の芯がじんわり火照るような感覚――。
(昨日の、透明の粘液のようなものが原因……?)
身体を拘束され、霊気の粘液に包まれた感触が、未だ肌の奥に残っている気がした。
拘束された脚、這い寄る触手、逃れられなかった刺激。
目を閉じても、記憶の中で霧のようにまとわりつく。
ひよりは小さく息を吐き、シーツの上で身をよじった。
「……ふぅ……大丈夫。時間が経てば、落ち着くはず」
ふと、無意識に自分の片手が、シャツのボタンを1つ外し、その年齢に似つかわしくないほどの大きな胸をシャツの上から触れた。
じっとりと身体が熱くなる一方で、少し涼しく気が楽になるような感覚がした。

もう片手は太ももに伸び、指先が肌の上を滑るように触れ、徐々にスカートの奥へと進むと、そこにはわずかな熱と湿り気を感じた。
そっと下着に指先が当たると、指の腹に液体のようなものが付着したのがわかった。
「んっ…」
思わず吐息が漏れた。
ひよりは無意識にその指先をもう一度下着の方に向かわせると、今度は、肌と下着の隙間に指先をいれた。
下着のラインに沿うように動かすと、少しずつ奥へと忍び込ませた。
指先はすっかりねっとりとした液体にまみれていた。
「…ぁ…あん」
少しだけ脚を広げると、指先は割れ目に沿って、その溝に溜まった分泌されたものをすくい取るように動かした。
クチュと小さな音が響いたが、ひよりは自分の吐息で気づかなかった。
徐々にその動きを早めながら、ちょうど人差し指の第一関節くらいが中へと入った瞬間──
びくんと身体が跳ねて息を止めて、我に返った。
(…あれ、私なんで、こんなこと……)
ひよりは慌てて下着から手を抜き、枕元にあったティッシュで指先を拭いた。
ほのかに酸っぱいような香りが鼻をかすめたが、気にせず、シャツとスカートを整えた。
シャツやスカートの裾が肌に擦れるだけで、身体が勝手に反応してしまうような気がした。
度重なる任務でのあの“ぬめり”が、彼女の体質の深層に火を灯してしまったのだろうか。
「これが……“反動”? 私の、この体質の…」
ひよりは自分の手のひらを見つめた。
確かにこの体質は、刺激を受ければ受けるほど、力に変えられる。
だが、もし、その代償として、この過敏な感覚が制御できなくなっていくのだとしたら──
「こんなことで、負けていられない。姉さんの行方を、知りたいのに……」
声に出した言葉が、寮の静けさに虚しく溶けた。
冷房から吹き出す風が、カーテンを揺らし、下着が少し冷えるのを感じた──。
(……それでも、進むしかない)
ひよりは目を閉じ、火照る感覚が静まるのをじっと待った。
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