
第7話 沈殿する瘴気
公開日: 2025/07/08
封霊会・医療棟。
薄く漂う薬草の香りと、冷たい床の感触。神崎ひよりは静かに扉を開け、部屋の中へと足を踏み入れた。
「いらっしゃい、ひよりちゃん。前回の任務からいろいろあったそうね…大変だったでしょう」
診察台の横で手袋をはめながら、やけに大人の色気を感じさせる声で話しかけるのは、前回と同じ女医・篠宮りえだった。
その目はどこか試すようで、ひよりの心拍がわずかに跳ねた。
「今回、経過観察で、前回からの変化もあると思うからもう少し詳しく診ていくわね。
じゃあ、シャツとブラジャーは脱いでそこの診察台に横になってちょうだい」
ひよりは前回の初診での出来事を思い出し、一瞬ためらいを見せたが、こくりと頷いた。
言われるがままにシャツの前ボタンを順番に外し、ブラジャーのホックを外し、脱いだ衣類をカゴに入れて、診察台に座った。

女医の "詳しく診ていく" という言い回しが、ただの医療行為とは思えないほど、どこか含みを帯びて聞こえ、ひよりの脳裏にその言葉が焼きついた。
「それじゃあ、そのまま仰向けで寝てもらえるかしら。」
ひよりは静かに診察台に背中を預けた。
涼しげな空気に触れた肌が、ほんのりと粟立つ。
豊かに育った大きな胸は仰向けになっても、やや形状が保たれて張りを感じさせる。
「では、触診からはじめていきますね」
篠宮が椅子に座ったまま近づき、手袋越しに胸元に触れる。
徐々にその膨らみにかけて、優しく滑らせるような触診。
力はまったく入っていないのに、まるで内側まで見透かされているような感覚がある。
「……やっぱり。前回より瘴気が奥まで溜まっているようね……任務で一体どんなことがあったのかしら…?」
そういうと、手のひらを大きく開きその大きな膨らみを優しく揉み始めた。
「…んっ……あの、これって……」
「はい…? 何があったか教えてくれないと、正しい処置ができないですよ… それで…何があったのかしら?」
篠宮の意地悪そうにそう言うと、指先ですっかり固くなっている先端を撫でた。
「……あっ……えっと……任務中に…淫霊に…」
「うんうん…淫霊にどんなことをされたの?」
話を聞くそぶりを見せながらも、指の腹を使って乳首を上下に撫でたかと思えば、今度はピンと弾くように緩急をつけて刺激した。
「んんっ……からだを…拘束されて…粘液のようなもの…を……塗られて…」
ひよりは自分でも顔が真っ赤に染まっていくのを感じた。
自分で説明している恥ずかしさと、同時に身体的な刺激を受けて余計に恥ずかしくなった。
「あら…それは大変ねぇ…」
そう言いながら、一度手を止めて、デスクからローションのようなものを取り出し手にとった。
「それってこんな感じだったかしら?…♡」
篠宮は、手のひらに垂らしたローションをゆるやかに馴染ませながら、再びひよりの胸へと触れた。
先ほどと同じ軌跡を、今度はさらに滑らかに、肌の上をなぞる。
しっとりとした温もりが、胸をやわらかく包み込む。手のひらが胸から離れる瞬間、細く伸びる粘りが肌を引きとめ、そこから解き放たれたとき、胸の奥に小さな疼きが広がった。
離れた手のひらと胸との間には、淡い光沢を帯びた糸が揺れていた。
大きな膨らみを覆うように塗り広げられた液体は、蛍光灯の光を受けて艶めかしい輝きを放っていた。
わずかな動きのたびに、その光沢がゆらめき、視線を誘う。
時がゆるやかに流れるほど、その液体は肌に絡みつくような粘りを増し、ひよりの感覚をじわじわと包み込んでいった。
ひよりはスカートの中の下着がしっとりと濡れ始めていることに気づき、気づかれないように脚をぎゅっと内股にしてしめた。
篠宮はそれに気づいたのか
「… このままだと、任務にも支障がでるだろうから、今ここで処置してしまいましょう。…いいですね?」
「えっ……あ、はい…」
ひよりは思わず流れで受け入れてしまった。
「無理に我慢する必要はないですからね」
篠宮は、それまで動かしていた手をパッと止めて、助手を呼び出した。
「今からする治療は中途半端になっちゃうとよくないから、ちょっとだけ動かないようにしますね」
そう言うと、助手とともに、手際よくひよりの四肢に特殊なマジックテープのようなものを巻き付け、診察台に固定した。
健康的な艶肌が診察台の上で大の字になった。
「…えっ、あの、これは一体……」
「心配しなくても大丈夫よ、痛くはしないから♡ 」
恥ずかしさと驚きを隠せないひよりを横目に、篠宮は淡々と治療の準備を進めた。
脚が開いた状態で固定されたことにより、なんの妨げもなく手がスカートの中へと伸びる。
(…やっ…そこは…)
人差し指の先が、布地に滲んだ染みをそっとなぞる。
下着の縁からわずかに溢れたねっとりとした液を、拭い取るようにゆっくりとすくい上げた。
「やっぱり…こんなに反応してる…」
篠宮は、その指先をひと目確かめると、親指と人差し指を軽く合わせては離し、細く伸びる糸を眺めながら、その粘り具合を丹念に確かめていた。
ひよりはあまりの恥ずかしさに身体をよじったが身体が固定されていて、わずからながらに内股になることがやっとだった。
篠宮が、助手から淡く光る器具を受け取ると、助手に戻るように伝えた。
その器具をもった手を再びスカートの中へと入れ、器具の先端を下着越しにそっと当てた。
「では、処置をはじめますね」
そう言うと、ひよりの返事を待たずして、器具が小さく振動を始めた――
「……っ!!あっ!」
思わず大きな声が出てしまった。全身に、じんわりと波紋のような感覚が広がり痛みはない。
むしろ、何かがゆっくりと込み上げてくるような、不思議な感覚。
胸の奥に、言葉にならないざわめきがこみ上げてくる。
「ゆっくりでいいわよ… これはあなたの中に沈んでいた瘴気が、流れ出そうとしている証なの」
器具を少し滑らせるたびに、また違った感覚になり、ひよりは思わず腰が反り、呼吸が浅く早くなる。
「…ああっ…んっ…はあっ……」
(…なにこれ…やばいかも……)
額に汗が滲む。だがそれは、不快なものではなかった。
「あともう少し、いい反応がでているわ…… ここでちゃんと処置しましょうね」
篠宮はそう言うと、器具をもっていないもう片方の手で胸を刺激し続けた。
(……あっ…もうっ…むり…)
「……ああっ!!」
その一瞬、ひよりの全身に電気のようなものが走り、身体がこれまで以上に反った。
その瞬間、胸の奥に巣くっていた重たい何かが、ふっと抜け落ちるような感覚とともに、体が軽くなったのが分かった。
器具の振動を止めると、篠宮は器具をもって手をスカートの中から抜いた。
「はい、これで今日のところはこんなところかしらね。少しくらいは流れたかしらね…」
ひよりは、息を切らしながら、自分の身体に起きたことが信じきれずに驚きを隠せない様子だった。
(…本当だ、確かに力がみなぎってくるような感覚がする……)
「あ、少しよくなったからって、また任務で無茶しちゃだめよ?♡」
柔らかな声色でそう釘を刺すと、篠宮は手にしたハンドタオルで、ひよりの胸元に残る粘液をゆっくりと拭い取っていった。
布地が肌をなぞるたび、大きな膨らみはかすかに揺れ、その形をふくよかに保つ。
先端にタオルが触れ、布の繊維がかすかに擦れるたびに、ひよりの身体は小さく反応を返していた。
拭き終えると、拘束具のようなものを取り外し、ひよりの身体を起こした。
篠宮は診断書に何かを書きながら、にこりと微笑んだ。
「次も、きちんと来てちょうだいね? まだ完治したわけではないんだから」
「……わ、わかりました。ありがとうございます」
ひよりは立ち上がりながら、少し疲労感と燻るような余韻を感じていた。
だが同時に、身体が軽くなったのも確かだった。
(もっと、自分の身体を理解して、ちゃんと制御しないと…)
その決意を胸に、ひよりは着替えてそっと医療棟を後にした。
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